前項で、炭 太祇の句、「寒月や我ひとり行(く)橋の音」を引用させてもらった。
せっかくなので、炭 太祇のことをネットの上でだが、調べてみた。 炭 太祇の句選集である『太祇句選』によると、「たん・たいぎ(1738-1791) 京都島原に住み不夜庵と号した。蕪村らと交遊。『太祇句選』……没後、蕪村・嘯山が選し、門人呑獅が刊行。明和9年刊。前記三人の序。」とある。 「広辞苑」によると、「江戸中期の俳人。江戸の人。雲津水国・慶紀逸(けいきいつ)に俳諧を学び、のち旅をつづけ、京都島原に居を定め、不夜庵と号。俳風は人事を得意とし、高雅で清新。句集「太祇句選」。(1709-1771)」とある。 ん? 生没年が上と違う。他のサイトを見てみよう。 上掲のサイトだと、生没年は、(1709-1771)であり、以下、「江戸生まれらしい。始め水国門、後、紀逸門。諸国を行脚した後、仏門に入り大徳寺(京都)真珠庵に住んだが、島原の遊郭に不夜庵と名ずけ定住する。蕪村と親交し俳句に情熱を注ぐ。中興の俳壇の中で独自の世界を持つ。蕪村らによる「太祇句選」がある。」と続く。 せっかくなので、手元の事典(NIPPONICA 2001)に当ってみる。 すると、やはり生没年は、(1709-1771)。 一部を引用すると、「40歳を過ぎた宝暦年間(1751-64)の初めに上洛、やがて仏門に帰依して号を道原と名のり、紫野大徳寺真珠庵に入った。ほどなく、妓楼桔梗屋主人呑獅(どんし)の援助により島原遊郭内に不夜庵を結び住んだ。蕪村と親密な風交を重ねた1766(明和3)以降の6年間は意欲的に俳諧にかかわり、多くの佳句を残す重要な時期となった。(略)俳風は人事趣味を得意とし、技巧的な趣向のおもしろさをもつものの、理詰めで深みに欠ける難もある。(略)」彼を扱う本に池上義雄著『炭太祇』(『俳句講座3 俳人評伝 下』所収・1959・明治書院)があるようである。 さて、引いた句に橋が出てくる。 与謝蕪村の蕪村句集に、「一條もどり橋のもとに柳風呂といふ娼家有。ある夜、太祇とともに此樓にのぼりて」として、「羽織着て綱もきく夜や川ちどり」以下の句が並んでいる。 「いろはかるた漫談 そ」の項の、【袖の振り合わせも他生の縁】に「羽織着て 綱もきく夜や 川ちどり」の句について説明されている。 「綱は「渡辺の綱」に見立ててありますが, 本当は蕪村が贔屓にしていた遊女の名前. 春風馬堤曲の最後に「君見ずや古人太祇が句」と引用されている炭太祇は, この方面での遊び友達だったようで, 名前どおり祇園の真ん中で寝起きしていた人のようです.」とある。 さらに、「この人と馬提灯問答をしている図がありますが, 人生を達観した人物のようでした. 蕪村と炭太祇, そして綱も袖の振り合わせも他生の縁だったのでしょうか. 」と続く。 「寒月や我ひとり行く橋の音」の句は、遊里への行き、あるいは帰りに作られたものなのだろうか。 ところで、炭 太祇に関心を持つようになったのは、既に紹介したことのある芳賀 徹著の『詩歌の森へ』(中公新書)で言及されていることが大きい。 あるサイトにて本書の目次や、特に著者の「あとがき」が読める。 ネットで芳賀 徹著の『詩歌の森へ』を検索したら、残部が少ない、品切れの恐れも、とあった。名著だと小生は思うのだが。 (04/02/08) [本稿に登場する芳賀 徹著『詩歌の森へ』に関連する小生のエッセイに「物干し台といえば」や「安本丹のこと」があります。(05/01/22 記)]
by at923ky
| 2005-01-22 01:09
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