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早生まれの意味、生きることのなつかしさ

[ 小林忠著『江戸の画家たち』(ぺりかん社刊、〔新装新版〕)を読んでいたら、「蟻通明神と恋する乙女」という章にて、以下の文章に出会った(『江戸の画家たち』についての感想などは、季語随筆「春の灸…青い鳥」の項を参照のこと):

 年齢を満で数えるようになってからとくに、正月の格別の重みがうすれてきたのではないだろうか。かつては、日本国中の老若男女が同時にひとしく年を加えて、そのめでたさをともにことほいだものである。
 元旦は早朝に起きて初日を拝み、その年の年男が井戸から若水を汲む。そして、今年一年の福徳をつかさどる歳徳神(としとくじん)に礼拝するため、供物をそなえた歳徳棚(恵方棚)に威儀を正して燈明をあげる。そののちに、床の間を背にした裃姿の父親を筆頭に、家内中が屠蘇酒を飲み、延年長寿と無事繁栄を祝い願う。
                            (転記終わり)

 このあとも、滋味深い文章が続くので、ずっと転記したいのだが、そうもいかない。

 季語随筆でも紹介したことがあるが、HPに「早生まれの意味、生きることのなつかしさ」と題した随筆、とはいっても、幾分、コラムの気味も加味されている随想文が載っている。
 4月25日朝のまだ通勤時間帯の終わりきらない頃に発生した尼崎脱線事故(事件)は、今もホットな話題である。近くに同志社大学があったり、通勤・通学などに使っていた方もいて、亡くなられた方には若い人が多数、含まれていた。
 老若男女を問わず、理不尽な形で生を断ち切られたことは、慙愧に耐えない。
 生きていたら、将来が明るいとは限らないとしても、それぞれの人生が開けていたことは確かなのだ。
 生きていること、ただそれだけで、実は在り難き事なのだということを改めて思ったりもする。
 直接に関係する訳ではないが、たとえば年の数え方という一見すると些細な事柄にも、含意するところは実に深い。
 書いてから既に三年を経ているが、基本的に原文のまま、ここに表題の拙稿の全文を掲載しておく。
 改めて、満年齢の意味、年齢を昔は数え年で数えていたことの意味を再考し、ひろくは生きることの意味を感じてみたいのである。

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by at923ky | 2005-04-29 18:52 | コラムエッセイ

自分の子には「喫煙するな」

 読まれた方も多いだろうが、3月2日付の朝日新聞夕刊に、表記のタイトルのコラムが載っていた。
 英国最大、世界第二位の煙草メーカー(BTA=ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)の経営者が「自分の子どもに、喫煙しないよう説きつづけてきた」と、英紙に明言したことが、1面のトップ記事になったのだ。
 無論、各界によって受け止め方は様々であることは十分に予想される。
 その経営者(マーティン・ブロートン会長)は、実際、子ども達が喫煙者ではないが、仮に吸っていたら、煙草は健康に悪いから吸わないほうがいいといってきた、というのである。
 またその経営者ご自身も病気を恐れ、吸わないというのである。
 ところで、同じ記事によると、同社の01年の収益は前年比36%伸びたと発表している。それは、30歳以下のスモーカーに狙いを絞っての成果だというのだ。
 つまり、ある程度の年齢層以上の欧米の方は、相当程度に節煙か禁煙に努めていることを当然、意味している。
 逆に言うと、これは、未だ煙草には予備知識の薄い若年層の犠牲、さらには、日本などモラル的に緩やかか劣っている国々の犠牲の上に煙草メーカーの繁栄が成り立っていることの、何よりの証拠のような気がする。
 煙草は今や、南北問題にまで関わっていることを理解すべきなのだろう。
 尚、煙草に関する一般的情報は以下のサイトを参照:
煙草による社会的損失を考える
煙草情報 ~あなたも必ずやめられる~
                            (02/03/03)
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by at923ky | 2005-04-28 12:10 | コラムエッセイ

煙草の値段は命の値段

 交通事故による死亡者数が、近年、やっと1万人を切った。しかし、それにしても9,000人以上の人が亡くなっている。
 警察は、交通事故の減少を、特に死亡事故の減少を目指して躍起である。別に警察に言われなくても、誰しも事故を望むわけがない。
 ここ数年、自殺者の数が激増し、3万人を超えるとも言われている。その増加分の大半は、不況に絡むものだろうとは、推測に固くない。自殺者の近親者ならずとも、なんとか自殺する方の数を少しでも減らしたいと切実な思いでいるに違いない。
 さて、煙草の喫煙による死亡者数は、一体、どれほどか、皆さんは知っておられるだろうか。約10万人である。
 交通事故による死亡者は、毎日、平均20人から30人。自殺者は毎日、平均、80人から100人。煙草の喫煙による死亡者は、毎日平均、250人!
 もっと、この現実を厳粛に受け止めるべきなのではなかろうか。
 それなのに厚生労働省が、煙草問題で躍起になっているとは聞いたことがない。警察のように街頭指導をしたなんて、聞いたことがあるだろうか。
 政治家も喫煙問題は票に結びつかないからか、まるで動きが鈍い。
 やめろとは言わない。せめて煙草の値段を上げて、その煙草の値段は命の値段の重さだと思い知るべきなのだ。
 今、煙草の値段が安く、若者が気軽に手に入るというのは、それだけ日本では人の命が軽く見なされているという証拠なのである。
                         (02/03/02)

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by at923ky | 2005-04-28 12:00 | コラムエッセイ

現代のアヘン戦争

 日本は最近はほんの少し喫煙事情が窮屈になりつつあるといっても、依然として喫煙天国だと思っていいだろう。愛煙家にとっては、少なくとも先進国の中では天国なのである。
 昨年10月1日に千代田区において歩き煙草(歩行喫煙)を罰する条例が施行された。罰金も課される。車中での喫煙は構わないが、車外へポイ捨てしたなら罰則の対象となる。
 実際、小生は仕事柄、車で都内を走り回っているが、車からのポイ捨ての多いこと。道路は灰皿じゃない! と言いたくなる。
 海の彼方の欧州連合(EU)では、煙草のパッケージに「喫煙は(人を)殺す」の表示を求める法令が実施されるという。既にそこまで対煙草対策が進んでいる。

 愛煙家の一部には、マナー向上に努めているというが、マナー向上というのは、自分を律すればいいというだけではなく、喫煙する仲間をも制するものでないと、自分はちゃんとやっているから文句ないだろうという、単なるアリバイ、言い逃れに過ぎない。
 煙草を吸わない人と同席する際、「煙草を吸ってもいいですか?」と尋ねて、OKがあったら吸うようにしている、などと澄まして語る人もいる。

 が、ここは日本である。煙草を吸っていいですかと聞かれて、正直に嫌ですとかダメですと言える人間がどれほどいるものか。仕事の都合、職場の上下関係、男女の柵(しがらみ)などがあって、それに曖昧を以って良しとする、無駄な軋轢を避ける、そんな倫理が土壌としてあることを多くの喫煙する大人も分かっているはずだ。

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by at923ky | 2005-04-28 11:46

日の下の花の時

 道路上で車中などから容赦ない直射日光を浴びる街路樹やグリーンベルトの花々(ツツジ)を間近に見て、そもそも書きたかったのは、別のことだった。
 緑なす葉っぱや幹などはともかく、花々に何か強烈な印象を受けていた。それは何だろうと思い返してみたら、あまりにも呆気ない理由がそこにあった。
 そう、花というのは、端的に言って性器なのであり生殖器なのだということ。
 が、それだけでは言い足りない。それは分かる。えげつなさ過ぎる表現だということもあるが、では何故、本来は単なる生殖器のはずの花が、少なくとも我々人間の目には美しく、あるいは可憐に見えてしまうのか。
 それは、犬や猫などの動物(特にその子供)が可愛く見えるように、人間の勝手な思い入れや、長年に渡る親しみ、馴染みの故に過ぎないのか。そう、選択と丹精の結果に過ぎないのか。
 小生は見逃したのだが、何年か前に、「メイプルソープ&アラーキー」の「百花乱々展」が、小田急美術館で催されたことがある。

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by at923ky | 2005-04-19 22:05 | 随想

ハルノートと太平洋戦争

[本稿は、季語随筆日記「無精庵徒然草「夜鷹蕎麦(2004.12.07)」からの抜粋です。]

 さて、ここで話がちょっと変わる。月曜日の営業もあと二時間あまりとなっていた火曜日の未明、四時過ぎ、お客さんを待ちながらラジオを聴いていたら(「ラジオ深夜便 〔こころの時代〕」)、「▼激動の昭和外交の証言者・加瀬 俊一(1)」ということで、筑波大学名誉教授である花井 等氏へのインタビュー番組となった。
 小生、ラジオでは講演やインタビューは聴かないことにしている。大概は、お客さんが来たりして、中途半端な話しか聴けないから、音楽とニュースが専らなのである。
 が、明日は、12月8日ということもあり、話題が興味深くもあったので、つい、やはり中途に終わったが、聴き入った。
 加瀬俊一氏とは、「すぐれた語学力でロンドン軍縮会議や国際連盟脱退などに随員として同行、20年のミズリー号上の降伏調印には外務省報道部長として参列。30年初代国連大使、33年駐ユーゴスラビア大使、35年外務省顧問となる。吉田、佐藤、中曽根の歴代首相の顧問もつとめる。」という方。
去る五月二十一日(今年の)に享年百一歳で逝去」された。
 アナウンサーのインタビューに答えていたのは、上記したように花井 等氏である。
 話題は、日米の開戦秘話だった。
 何故に日本は、あんな無謀な戦争に突き進んでしまったのか。避けることはできなかったのか。外交の裏舞台、あるいはまさに日米の外交の実務そのものに長く携わってこられた加瀬俊一の話やエピソードなどを花井氏が紹介されていた。

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by at923ky | 2005-04-15 12:09 | コラムエッセイ

昨日、ラジオで聞いたこと(医療過誤編)

[ 寄る年波で、病院通いする機会が増えてきた。今日も、歯医者さんと町の開業医院に通院してきた。今月になって小生を担当する方は、歯科医なのか歯科技工士なのか分からないが、所謂、イケメン。女性だったら、彼に会うために虫歯になりたい、なんて思うかも。
 それんしても、担当してくれる医師の経験や知識、それ以上に人間性、病院環境で、診断の雰囲気や在り方が随分、違うと感じる…。 (05/04/11 記)]


 これまたラジオで聞きかじった話である。小生の記憶力も理解力も覚束ないので、例によってネットで補強しながら、簡単にメモしておきたい。
 それは医療過誤(メディカル・エラー)による事故死の話。
 アメリカでは、年間、「毎年少なくとも44,000人のアメリカ人が医療事故で死亡している」という(米国医学研究機構(IOM)の報告による)。昨日の方の話では、統計によっては10万ともいう。
 日本は、その半分だとして、年間、二万、数え方によっては5万もいることになる(半分というのは、希望的数字のようだ。というのは、アメリカは医療過誤による事故死を防ぐため、早くから、二十年程前から対策が打たれてきたからだ。
 そういった対策の遅れている日本は、それゆえアメリカの半分というのは、できれば半分以下であって欲しいという小生の願いが込められている)。
 この数字は(事故)死の数である。ということは、事故はどれほどあるか分からないし、植物人間状態に陥った数が分からない。
 直接には関係ないが、植物人間状態ということで、少し、思うことがある。それは交通事故死亡者数が、全体としては警察の発表を見ると減っている傾向にあることの、不思議についてである。

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by at923ky | 2005-04-11 14:56 | コラムエッセイ

ジェットコースター的、遊戯的男女考察

 ジェットコースターに乗ったことのない人は少ないかもしれない。
 ジェットコースターでなくても、ディズニーランドのスペースサンダーマウンテンとかビックサンダーマウンテン、スペイン村のピレネーとか、後楽園のコースター「サンダードルフィン」や「ワンダードロップ」とか、こうした墜落系というのか、上昇し一気に落下する系というのか、そうした一切をここではジェットコースターに象徴されているものとする。
 その一番原始的というか素朴な形態は、滑り台に求められるかもしれない。それとも川などの土手の斜面とか。
 小生も、ガキの頃、滑り台を心行くまで滑った記憶がある(ような気がする。滑ったことがあるのは間違いない)。
 小生が十歳にもならない頃、田舎(富山)で、サンパチの大豪雪を経験したが、あまりに積雪が凄いので家の出入りは二階から、ということに相成ったが、屋根から落ちた雪と積雪とで堆く積もった雪山(小生には、山に感じられたのだ)に朝となく昼となく夜となく登ったものだった。
 大概は雪原に寝そべって雪の降る神秘な空を眺めたり、白い花びらが次第に降り積もる様子を飽かず見守っていたものだが、同時に雪遊びに耽ることも忘れるはずはなかった。

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by at923ky | 2005-04-11 14:45 | コラムエッセイ

昨日、ラジオで聞いたこと:劣化ウラン弾

原題:「昨日、ラジオで聞いたこと(別題)(03/05/18)」

 これまた昨夜、ラジオで聞きかじった話である。よって話の裏づけは取っていないことを予め断っておく。
 話題は劣化ウラン弾に関することだった。
 このたびの米英(日)によるイラク攻撃においても、劣化ウラン弾を使用したことはアメリカ当局も公式に認めている。
 但し、アメリカ当局が認めていないのは、劣化ウラン弾が健康や環境へ影響があるという点である。つまり、アメリカ政府は、環境などへの負荷がないから使っているというのである。
 劣化ウラン弾については、前にも書いたので、改めて説明しない。詳しくは下記のサイトを参照願いたい。
 要は、「核兵器や原子力発電用の濃縮ウラン製造過程で生まれる大量の劣化ウラン(ウラン238)は、鉛より比重が重く、優れた貫通力は 対戦車砲として絶大な威力を発揮する」ものであり、さらに「摩擦熱による発火力も高く、発火の際に放射能を含んだ微粒子が大気中に飛散。劣化ウラン の持つ強い毒性と併せ、人体や動物に悪影響を与え、環境汚染を引き起こす」ものなのである。

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by at923ky | 2005-04-11 14:37 | コラムエッセイ

9月18日死刑執行…

[ 「名張毒葡萄酒事件再審決定」というニュースが4月5日、日本中を駆け巡った。この「名張毒ぶどう酒事件」の詳細については、「名張毒ぶどう酒事件とは」というサイトを参照願いたい。

 一部だけ、転記させてもらう:

1962(昭和36)年3月28日、いつものように「三奈の会」が開かれ、夜8時ころ懇親会に移った。
 男たちには清酒が、女達にはぶどう酒がふるまわれ、32人の参加者たちは和やかに祝杯を挙げた。その時事件は起きた。
 突然女たちがもがき苦しみ、あちこちで女性が嘔吐し、腹痛を訴えるなど会場は騒然とした状況になった。驚いた男たちは遠方から医師を呼んだが、その甲斐もなく5人が死亡、12人が中毒症状を起こしていた。
 飲み残しのぶどう酒や犠牲者の嘔吐物を鑑定した結果、その中に有機燐剤であるテップが含まれていることが判明し、また死体解剖の結果、死因はテップ中毒であることが判明した。これが名張毒ぶどう酒事件である。
                     (転記終わり)

 以下に掲げる小文は、3年前に書いたコラム風エッセイである。無縁とは思えないので、この際、アップさせていただく。 (05/04/06 記) ]

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by at923ky | 2005-04-06 23:28 | コラムエッセイ