寒波の中の帰郷(続)

 長岡駅で待ち合わせの「はくたか」に乗ってみると、中はガラガラ。「maxとき」は、ほぼ指定席が満杯だったが、今度は隣は勿論だが、場合によっては気分次第で席を変えることも出来る。

 ゆっくり本も読めそう。あとは出発を待つばかり。と思っていたら、しばらくして車内放送が。「柿崎と某所との間で電車が架線事故に遭い、電車が動かなくなっています。現在、原因を確認中。詳しいことが分かり次第、放送します。」といったようなことを言っている。

c0008789_2214597.jpg 我輩の後ろに居た中年の女性が騒ぎ出す。仕事だし、今日中に富山へ行かないといけない。あら、予定が立たない。この電車、動くの、動かないの、車内販売の女性にまで聞いている。品物を売りながらも、返答に窮する売り子のおばちゃん。答えられるわけ、ないじゃん。そのうち車掌が回ってきたので、車掌に談判みたいな質問。

 雪の中だし、事故現場へ向かうだけでも時間が掛かるのは明らか。小生は、開き直ってトイレへ。その帰り道、構内に蕎麦屋を見つけた。

 昔、富山と東京の往復というと、乗り換え駅は長岡だった。その頃は、よくその蕎麦屋で蕎麦かうどんを食べたものだった。待ち合わせの時間も一時間だったか二時間だった、とにかくそこそこの時間が合ったので、ぶらぶらしたり、何か食べたり、新潟や東京ではパチンコをしたこともあった。今と比べてのんびりしていたのだ。



 今は合理的と言えばその通りだが、乗り換え時間ぎりぎりでの乗り継ぎなので、慌しい限りだ。ビジネス客がメインだから、旅の情緒など度外視している。ただ、効率を追いかけている。旅をする客も目的地へ早く行きたいという人が多いのかもしれない。その意味でニーズに応えているというに過ぎないとJRは思っているのだろう。時代なのか…。

 海苔とネギの一杯載ったコロッケ蕎麦を食べて、お腹も温まったし、我輩は、いよいよ物語の中に引き込まれてきた村上春樹の『海辺のカフカ』の世界に没入する。時間はたっぷりある。もし、列車内の車中泊となったら、車内で持参してきた上巻を読み終えるかもしれない、なんて。

 一時間近く待たされただろうか、何度目かの車内放送で、バスでの代行輸送をします、というアナウンス。直江津までバスで行き、そこからまた列車「はくたか」に乗り、富山や金沢方面へ向かって走るというのだ。先行している列車が待ち合わせのため待機するらしい。職員の案内で改札口へ向かう。長岡駅の外は雪。車が走るところだけ雪がない。

 我輩は普通の革靴なので雪は困る。足元に気をつけながら、バスに乗る客の列の後尾に並ぶ。バッグにはパソコンや着替えなどが入っているし、片方は東京名産の「ひよこ」が四つも入っていて、とにかく荷物が多く、移動が大変。それだけで体力を消耗する。

 バスでの移動。小生、この数年、バスや電車の移動が好きになっている。まして長岡から直江津まで走るのだ。ちょっとしたバス旅行だ。バスの中は鮨詰め状態で窮屈だし隣は男できついのだが、『海辺の…』を読んだり、既に暮れ始めている外の景色を眺めたりして、気持ちの上ではゆったりと過ごした。気分は銀河鉄道だ。

 長岡着は13:15頃、バスに乗り込んだのは16:20頃、十数分後に動き出したが、長岡ICに入ったのは17:01だった。18:20に直江津駅に着き、18:27頃、待機していた「はくたか16号」に載った。

「はくたか」は18:50頃、出発。その間、田舎の家へ幾度となく電話。直江津からの「はくたか」内では家で食べるための鱒寿司を買ったのだが(売り子が若くて可愛かったので、ついでに好きな「あんころ」というお菓子も買った)、思えば朝食は昼前のカップ麺だけなので、お菓子を少々齧ったとはいえ、お腹が空いていて、とうとう入善を過ぎた辺りで我慢がならず、鱒寿司に手をつけてしまった。

 手につけたはいいが、入善からは富山駅は近い。焦りつつも、おいしいこともあり、せっせとひたすら食べる。やはり、うまい! 

 慌しい中、「はくたか」が富山駅に20:05頃、到着。鱒寿司の容器類を捨て、バッグと手提げ袋を手に、駅の改札口に立つ。荷物が重いので、雪が積もっていることもあり(降ってはいなかったが)、贅沢にもタクシーを使うことに。

 こんな時のためのタクシーだ。他の人が運転しているタクシーに乗るのも勉強になる。いい意味でも悪い意味でも学ぶべき点があるのだ。プロがプロを見る、というわけである。

 自宅には20:20頃に帰宅。家の庭に見慣れた車が。姉の会社の車だ。(続く…かも)
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by at923ky | 2005-12-29 22:11 | 日記・雑事


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