過日、車中でラジオを聞いていたら青松虫の話が耳に飛び込んできた。
以前、「ゴキブリとコオロギの間」という小文を書いたことのあるものとして、聞き流すことはできなかったのだ。 といって、仕事中に聞きかじりしただけなので、後で休憩の際に、覚えていることを断片的に書き留めておくのがやっとだった。 そのメモによると、青松虫(ただし、そのメモにはアオ松虫と記してある)は、明治になり中国より日本に帰化して広まったもの。たまたま明治になり、西洋化の流れの中で街路樹なる従来の日本にはなかった生息地が生まれつつあったため、青松虫は、その街路樹の延伸につれて繁殖し土着した、とある。 街中で青松虫の鳴き声が聞こえるとしたら、従って頭上からということになる。 青松虫は、簡単に言うと、バッタの仲間である。 さて、事典に当たって青松虫について、詳しく語ってもいいのだが、あまり意味もないので、ここでは参考のために、写真ではないが、あるサイトにアオマツムシの絵があったので、その図像を見てもらうことで、説明に代えて置きたい。 なお、松虫自体は、日本に古来より生息してもののようである。 ちなみに、聖武天皇の第三皇女・松虫姫に絡む松虫姫伝説やら。 あるいは、聖武天皇が僧・行基に命じて創建させ、松虫姫の名にちなんで命名 された松虫寺などもある。 余談だが、その番組の冒頭だったか(これは記憶に定かではない)、蝉時雨という言葉を久しぶりに聞くことが出来た。これは、小生が試みている掌編のタイトルか、少なくともキーワードとして使える! などと思い、セミシグレという言葉だけをメモしておいた。 なお、虫についてのエッセイでは、「虫と日本人のおつきあい」という笠井昌昭さんのお話が面白い。小生ごときが余計な聞きかじりの説明をするまでもない。 このお話の中で興味深いことがいろいろ出てくる(あるいは小生が無知なだけ、大方の人は知っていることかも知れないが)。 例えば、「日本で最初に虫が描かれたのは弥生時代の銅鐸」であるとか(そういえば、この銅鐸は新聞や本の挿入写真で見たことがある)、「赤トンボを見て郷愁の思いにかられるなんていうのは、日本人だけ」だとか、「飛鳥時代、法隆寺の「玉虫厨子(たまむしのずし)」」が、厨子のくり抜かれた部分に、実際に「玉虫の羽が貼って」あるとか…。 さらに、滝の傍で「シャーシャー、シャーシャー」と鳴く虫がおり、この鳴き方が「セミ・セミ」と聞こえ、「セミ(蝉)」という名前が起こったのではないかという説があるとか。 興味の湧いた方は、上掲のサイトでじっくりどうぞ。 このサイトでは養老孟司さんのお話「脳のメカニズムと“虫の知らせ”」なども読めます。 虫と日本人との関わりは古来よりのもので実に長い。 そうはいっても、多くの女性には虫は、いけ好かないもののようだ。虫唾が走るという言葉もある。毛嫌いということなのだろう。 男性のかなりの方は、昆虫類に深浅はあっても、興味を持たれていたか、大人となった今も持っておられる方が多いのではないだろうか。 しかし、さて、ゴキブリである。あるいは昆虫以外の虫。蛆、蝶になる前の青虫も、必ずしも好きという人は多くはないだろう。 小生もゴキブリは厭である。たまに部屋の何処かで見つけたりすると、心臓がバクバクして、申し訳ないけれど、しっかりやっつけて片付かない限り、落ち着かない。 何故なのだろう。ゴキブリは我輩や人間様に悪さをしたのだろうか。何かの疫病の媒介者なのだろうか。 前にも書いたけど、ゴキブリは元々が熱帯性の生物であり、湿気のある暖かい場所がお好みである。つまり、台所がお気に入りの場所となる。そして多くの女性は虫が嫌いときている。で、女性のお城である台所を我が物顔で闊歩するゴキブリが憎くてならず、古来より女性にとりゴキブリは天敵となってきた。 そして見つけ次第、何が何でもゴキブリをやっつけるという風景が子どもには原風景として心の奥深くに焼きついている。だから、親(母親)の背中を見て育ってきた多くの男性もゴキブリだけは嫌いという結果になるのではないか…。 さて、別にゴキブリを差別するわけではないが、ゴキブリについてのサイトを検索する手間が、どうにも億劫でならない。なんだか、リンクを張るのが憚られるのである。 そこで、事典で少しだけゴキブリについて調べてみた。 別名、アブラムシ(油虫)。 語源としては、御器(ごき=木製の椀)を齧るので、この名があるという。やっぱり女性(台所)の天敵だったのだ。 しかし、事典(NIPPONICA)によると、江戸時代はゴキブリはそれほど嫌われたわけでもないという。「秋田県では、台所にいるゴキブリをカマドムシといい、駆除したり、いたずらしてはならない」という。ロシアやフランスいはゴキブリを守護霊とする伝えもあったとか。 ロシアと秋田。なんとなく文化の繋がりを感じる。秋田美人は有名だが(特に肌の木目細かさと白さとは、生唾モノ)、秋田にロシア人の血が流れているという俗説を聞いた人も多いだろう。 だとしたらロシアの文化も流れていて不思議はないわけだが、真偽の程を確かめようがないのがどうにも困る。 いずれにしても、虫と人間(日本人)との関わりについては、まだまだ考える余地が多そうである。 (02/09/01)
by at923ky
| 2005-01-06 17:20
| 随想
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